2023/01/18 Daniel Benson
2023/01/18 Daniel Benson

2023年の春のクラシックレースを紹介

2023年の春のクラシックレースを徹底的にガイドします。

2023年の春のクラシックレースを紹介 2023年の春のクラシックレースを紹介

Canyonが2023年の春のクラシックレースをご紹介

リエージュ~バストーニュ~リエージュのモビスター・チーム リエージュ~バストーニュ~リエージュのモビスター・チーム

クラシックレースとはどんなレース?

春のクラシックとは、ヨーロッパ北部で開催されるワンデーレースのうち注目度が高いものをまとめて呼ぶ名前で、年間のワンデーレースの中でも特に象徴的で人気があります。これらのレースは時代とともにファンに浸透し、伝説的なレースが生み出され、ロードレースの歴史の中できわめて印象深いシーンがいくつもあります。

春のクラシックが始まる時期は?

春のクラシックは、2月下旬にベルギーで連続して行われるオムロープ・ヘット・ニウスブラットとクールネ〜ブリュッセル〜クールネの2レースから始まります。この開幕2連戦はまとめて「始まりの週末」と呼ばれます。春のクラシックのスペシャリストたちは、この数週間から数か月後に控えているレースに向けて冬のトレーニングでコンディションを高めてきており、ここが最初の活躍の場となります。

春のクラシックレース

「春のクラシック」という言葉は定義が曖昧で解釈の幅が広く、クラシックシーズンが始まる日付も、どのレベルのレースをクラシックと呼ぶのかも厳密には決まっていません。今回の記事では、その中でもとりわけ重要なレースと、モニュメントと呼ばれる5つのレースを紹介します。

2022年のオムロープ・ヘット・ニウスブラットを走るクロエ・ダイガート | © Thomas Maheux 2022年のオムロープ・ヘット・ニウスブラットを走るクロエ・ダイガート | © Thomas Maheux

オムロープ・ヘット・ニウスブラット

オムロープ・ヘット・ニウスブラット(旧称オムロープ・ヘット・フォルク)はツール・ド・フランドルで有名なこの地方独特の丘をいくつも登りますが、長く過酷なツール・ド・フランドルと比べるとオムロープは少し穏やかで、距離は200kmほどです。



オムロープ・ヘット・ニウスブラットの見どころ

2023年のコースでは終盤にカペル・ミュールとボスベルクの2つの上りが控え、ニノーヴェのフィニッシュはきっと盛り上がるでしょう。





クールネ〜ブリュッセル〜クールネ

クールネ〜ブリュッセル〜クールネはオムロープ・ヘット・ニウスブラットの翌日に開催されるレースで、後半には上りがあまりないので最後は小集団によるスプリントになることが多く、前日のレースとは参加選手の顔ぶれが変わります。どちらも春のクラシックの行方を占うレースとなりますが、「始まりの週末」から最高峰のワンデーレース群の開催までにはしばらく時間があるので、そちらを狙っている選手たちはここからさらにコンディションを高めていきます。



クールネ〜ブリュッセル〜クールネの見どころ

クールネにはベルギーの熱心なファンがたくさん詰めかけ、生ビールを楽しみながらレースのスタートを見物します。

2022年のストラーデ・ビアンケ・ドンネを走るソラヤ・パラディン | © Thomas Maheux 2022年のストラーデ・ビアンケ・ドンネを走るソラヤ・パラディン | © Thomas Maheux

ストラーデ・ビアンケ

ベルギーで始まった春のクラシックは舞台をイタリアへと移し、クラシックに新たに加わったストラーデ・ビアンケが開かれます。このイベントは2007年に生まれ、女子と男子の両方のレースが開催されます。歴史はまだ浅いですが急速にその地位を固め、今はもうレース界で欠かせないものになっています。

絵葉書のように美しいトスカーナ地方の風景とダートを走る選手たちは年間のレースの中でも特に印象的で、これまでにファビアン・カンチェラーラ、マチュー・ファン・デル・プール、アネミエク・ファン・フルーテンといった選手たちが優勝しています。ストラーデ・ビアンケはクラシックの中では新参者ですが、すでにあらゆるレースファンにとって見逃せないイベントとなっています。



ストラーデ・ビアンケの見どころ

できれば実際に自分でダートを走ってみることをおすすめしますが、現地で観戦するのなら、ロードレースの中でも最高に印象的なフィニッシュとして評価を高めつつあるシエナのカンポ広場が最適でしょう。





ミラノ~サンレモ

ストラーデ・ビアンケが終わると、次の注目のレースはシーズン最初のモニュメントであるミラノ~サンレモです。クラシックの女王とも呼ばれるこのレースは3月後半に開催され、ほぼ300kmにおよぶ長さが特徴的です。1907年に初めて開かれて以来、非常に熾烈で刺激的な展開でサイクリングファンを楽しませてきました。

ミラノ市街地のドゥオモ広場をスタートしたレースはリグリア海沿いを進み、いくつかの上りをこなして、最後にレースの決め手となるチプレッサとポッジオの丘を越えます。この2つの上りは特に険しいわけでも長いわけでもなく、チプレッサは5.6km、ポッジオは3.7kmしかありません。しかしどちらもフィニッシュまで20kmもない最終盤にあるため、ゴールへ向けて選手がアタックを掛け下りを果敢に攻めることで有名です。このレースはクライマー、スプリンター、ワンデーレースのスペシャリストのいずれにも勝つチャンスが同じようにあり、序盤はスローペースで進むことが多いのですが、最後は手に汗握るような激しい展開が待っています。



ミラノ~サンレモの見どころ

レースがスタートするミラノの街は美しく、海岸沿いに出てからも目を見張る景色が続きます。フィニッシュのローマ通りは、熱烈なファンなら一度は行ってみたい場所です。





サクソ・クラシックとヘント〜ウェヴェルヘム

春のクラシックは、3月の終わりに中心地のベルギーへと戻り、E3サクソ・クラシックとヘント~ウェヴェルヘムから石畳のレースのシリーズが始まります。この2つのうち特に知名度が高いヘント~ウェヴェルヘムは、モニュメントと比べると少し劣るものの、1930年から続く歴史を誇る格式高いワンデーレースです。

一般的にはスプリンター向けのレースとされますが、心臓破りのケンメルベルクの坂を3回登るうえ、過酷な気象条件や横風の影響で集団が分断されることも珍しくありません。フィニッシュは小集団スプリントや小さな逃げグループでの争いになることが多く、女子レースでは2012年以降複数回勝利を挙げた選手はキルステン・ウィルトだけです。



E3サクソ・クラシックとヘント~ウェヴェルヘムの見どころ

この2つのコースはまったく違ううえ、たびたび変更されます。E3のスタート地点のハーレルベーケはいつも賑やかな雰囲気で、ルートには多数の上りがあり、全力で展開するレースをどこででも見ることができます。ヘント~ウェヴェルヘムのスタートとなるイーペルは歴史と文化が豊かな街で、特別な雰囲気が漂っています。中盤のケンメルベルクはレースが活性化する見どころで、主催者が観戦チケットやパッケージツアーを提供しています。

1913年から続くツール・ド・フランドル 1913年から続くツール・ド・フランドル

ツール・ド・フランドル

ヘント~ウェヴェルヘムの翌週には、ベルギーで最も有名かつ重要なワンデーレースであるツール・ド・フランドル(ロンド・ファン・フラーンデレン)に注目が集まります。シーズン2戦目のモニュメントとなる男子レースは1913年から続く伝統の一戦で、一方女子レースは2004年に始まりました。両方とも年によってルートが変わり、スタートとフィニッシュのどちらも何度か変更されました。初期の男子レースはヘントを出てヘントに戻って来るレイアウトでしたが、ルートは徐々に改善され、今の男子レースはアントワープをスタートしてオウデナールデの街にゴールします。

第106回となる2023年の男子レースはオーデ・クワレモントとパーテルベルクの上りが復活し、注目ポイントとなります。オーデ・クワレモントは3回、それよりもさらに強烈なパーテルベルクは2回登ります。最後にパーテルベルクを越えてからフィニッシュまでは約13kmなので、最終盤の2つの上りはレースを決定づけるアタックポイントとして最適です。しかしコースには小さな丘が数多く含まれていて、レースを左右する要素がたくさんあります。そのため、男子と女子のどちらもレースを決める動きがどこで起こるかわかりません。

勝つための戦術がきわめて難しいレースで、270kmを超えるレースを制するには強い脚だけでなく頭脳も欠かせません。2022年のレースではマチュー・ファン・デル・プールがツール・ド・フランス総合優勝2回を誇るスロベニア人のタデイ・ポガチャルと最後の15kmを逃げ、積極的に牽かせて、フィニッシュでは後続に追いつかれそうになりながらも激しいスプリントで最終的に勝利を挙げました。



ツール・ド・フランドルの見どころ

レースはブルージュの中心からスタートして特徴的な上りをこなし、オウデナールデにゴールします。ツール・ド・フランドルには観戦ポイント選びに困ることはありません。主要な上りなどいくつかのキーポイントはレース主催者が観戦チケットを販売しています。ブルージュの中心街で行われるチームプレゼンテーションには数千人のファンが集まり、ロードレースの世界の中でも他にはない特別な雰囲気が味わえます。

石畳が荒れたレースを生み出す「北の地獄」ことパリ~ルーベ 石畳が荒れたレースを生み出す「北の地獄」ことパリ~ルーベ

パリ~ルーベ

モニュメントのひとつであり石畳シリーズ最後となるレースが、ワンデーレースの中で間違いなく最も有名なパリ~ルーベです。フランス北部で1896年から続くこのレースは、過酷な自然条件と荒れた展開を生み出す石畳区間の厳しさから、「北の地獄」とも呼ばれます。このレースはルーベの織物メーカーによって創設され、歴史の中でその名前が広まっていきました。1940年代にフィニッシュ地点が今の有名なルーベの自転車競技場へと移り、1988年にはデルク・デモルが一日中逃げ続け、1996年にはマペイチームが1位から3位を独占し、2012年にはトム・ボーネンが4回目の勝利を挙げロジェ・デ・フラミンクの最多勝利記録に並ぶなど、レース界の伝説を生み出してきました。

パリ~ルーベがモニュメントのひとつに数えられ伝説として扱われている理由は、なんといっても石畳です。トゥイ・ド・アランベール、モン=サン=ペヴェル、カルフール・ド・ラルブルといった有名な石畳区間が並び、いつもレースを盛り上げてくれます。雨でも晴れても、どんなコンディションでもパリ~ルーベは必ず非常におもしろい展開になります。

2021年からは、主催者のASOが女子レースを開催しています。まだ歴史は浅いですが、すでにレースカレンダーの中で最も評価が高く大切なレースのひとつとなっています。



パリ~ルーベの見どころ

スタート地点のコンピエーニュは毎年特別な空気に包まれ、この街で前日に行われるチームプレゼンテーションも見逃せません。コースは見どころが満載で、すばやく移動するとレースを何度も見ることができます。現地で観戦するならぜひカルフール・ド・ラルブルやアランベールの森を予定に入れましょう。他のプロレースとは違い、パリ~ルーベの女子レースは男子とは別の日に行われます。もちろんフィニッシュとなる競技場も注目で、事前にチケットが販売されます。

2022年のリエージュ~バストーニュ~リエージュ・ファムを制したアネミエク・ファン・フルーテン 2022年のリエージュ~バストーニュ~リエージュ・ファムを制したアネミエク・ファン・フルーテン

アルデンヌ・シリーズ

ベルギーとフランスの石畳クラシックが終わると、春のクラシックの舞台はアルデンヌ地方へと移り最高潮に達します。アルデンヌ・クラシックは以下の3つのレースが有名です。

1. アムステル・ゴールド・レース(オランダ)

2. ラ・フレーシュ・ワロンヌ(ベルギー)

3. リエージュ~バストーニュ~リエージュ(ベルギー)

3つのイベントすべてで男子レースと女子レースの両方が開かれます。パリ~ルーベの翌週、まずは最も歴史が浅いアムステル・ゴールド・レースから始まります。このレースはカウベルクの上りが最大の特徴ですが、他にも男子レースでは30個の丘があります。20年ほどの間にフィニッシュ地点は何度か変更されましたが、カウベルクはずっとこのレース最後の上りとして存在感を放っていて、レースを決めるアタックポイントとなっています。2019年のアムステル・ゴールド・レースでは、終盤に逃げた3人の集団をマチュー・ファン・デル・プールがフィニッシュ直前で捕まえ、初のクラシック勝利を手にしました。

ラ・フレーシュ・ワロンヌのユイの壁は、アムステル・ゴールド・レースのカウベルクに匹敵するくらい有名です。このレースの名前は「ワロン地域の矢」という意味で、斜度26%の急坂を登ったところにフィニッシュが設定されていて、男子レースでも女子レースでもほぼ毎年ここで勝者が決まります。レース主催者のASOは、選手のアタックを誘発するためこの数年に何度かフィニッシュのレイアウトを変更し距離を伸ばしましたが、最後のユイの壁以外の場所でレースを決める動きがあったのはこの数十年で一度だけです。

現役時代にUltimateAeroadの両方に乗り昨年引退したアレハンドロ・バルベルデは、5回という最多勝利記録を保持していて、そのうちの4回はCanyonのバイクで勝っています。1998年から始まった女子レースでは、7回の優勝を誇るアンナ・ファン・デル・ブレーヘンと5回の勝利を挙げたマリアンヌ・フォスが圧倒的な強さを見せています。

春のクラシック最後のレースは、アルデンヌ3連戦の中で唯一のモニュメントであるリエージュ~バストーニュ~リエージュです。このレースは1892年から続いていて、最古参という意味の「ラ・ドワイエンヌ」とも呼ばれています。一方で、女子レースは2017年からレースカレンダーに加わっています。別名のとおりモニュメントの中でも最も歴史が長く、ツール・ド・フランドルやパリ~ルーベと並んでワンデーレースの中で最も過酷なレースとされています。

ツール・ド・フランドルと同じく短いながらもきわめて厳しい上りが特色となっていて、歴史の中でルートは多少変わってきましたが、最大の象徴となっているコート・ド・ラ・ルドゥット、コート・ド・ラ・ロシュ・オ・フォーコン、コート・ド・サン・ニコラはそのまま残されています。

リエージュの最多勝利回数はエディ・メルクスが持つ5回で、伝説となっているイタリア人選手のモレノ・アルゼンティンとアレハンドロ・バルベルデの2人がそれに続いて4回の勝利を記録しています。同じ年のアルデンヌ3連戦を全勝した選手は、先日亡くなったダヴィデ・レベリン(2004年)とフィリップ・ジルベール(2011年)の2人だけです。

女子レースの距離は半分ほどですが、リエージュのフィニッシュの前には男子と同様に重要な上りが多数控えています。2022年の優勝者はモビスター・チームのアネミエク・ファン・フルーテンで、Canyon Aeroadで2回目の勝利となりました。

アルデンヌ・シリーズの見どころ

アムステル・ゴールド・レース:スタート地点のマーストリヒトやカウベルク、フィニッシュのファルケンブルクがおすすめです。

ラ・フレーシュ・ワロンヌ:ぜひ最後のユイの壁で観戦したいところです。

リエージュ~バストーニュ~リエージュ:ラ・ルドゥットとサン・ニコラが最大の見どころで、重要なアタックポイントになっています。



特に格式高い5つのレースにはロードレースの中でもモニュメントという称号が与えられている 特に格式高い5つのレースにはロードレースの中でもモニュメントという称号が与えられている

「モニュメント」と呼ばれる5つのレースとは?

春のクラシックはロードレースの中で欠かせない要素になっていますが、この他にモニュメントと呼ばれる格式高いレースが5つあります。

1. ミラノ~サンレモ

2. ツール・ド・フランドル

3. パリ~ルーベ

4. リエージュ~バストーニュ~リエージュ

すなわちレーティング5です。イル・ロンバルディア

ヘント~ウェヴェルヘムやオムロープ・ヘット・ニウスブラットなどのレースはセミクラシックと呼ばれ、その中にストラーデ・ビアンケが含まれることもあります。これらはモニュメントの1つ下のレベルとして扱われます。

2023年の春のクラシックの日程

2月25日 オムロープ・ヘット・ニウスブラット
2月26日 クールネ〜ブリュッセル〜クールネ
3月4日 ストラーデ・ビアンケ・ドンネ
3月4日 ストラーデ・ビアンケ(男子)
3月18日 ミラノ~サンレモ
3月24日 E3サクソ・クラシック
3月26日 ヘント~ウェヴェルヘム(女子)
3月26日 ヘント~ウェヴェルヘム(男子)
4月2日 ツール・ド・フランドル(女子)
4月2日 ツール・ド・フランドル(男子)
4月8日 パリ~ルーベ・ファム
4月9日 パリ~ルーベ(男子)
4月16日 アムステル・ゴールド・レース(女子)
4月16日 アムステル・ゴールド・レース(男子)
4月19日 ラ・フレーシュ・ワロンヌ・フェミニン
4月19日 ラ・フレーシュ・ワロンヌ(男子)
4月23日 リエージュ~バストーニュ~リエージュ・ファム
4月23日 リエージュ~バストーニュ~リエージュ(男子)
アルペシン・ドゥクーニンクのチームメイトとともに走るマチュー・ファン・デル・プール アルペシン・ドゥクーニンクのチームメイトとともに走るマチュー・ファン・デル・プール

2023年の展開予想

ツール・ド・フランドルではマチュー・ファン・デル・プールが劇的な勝利を挙げ、パリ~ルーベ・ファムではエリザ・ロンゴボルギーニが印象的な走りを見せるなど、2022年の春のクラシックでは、レースシーズン全体から見ても特にすばらしいシーンがありました。

ユンボ・ヴィスマやイネオス・グレナディアーズ、マチュー・ファン・デル・プールが所属するアルペシン・ドゥクーニンクなど、2023年の男子レースにも有力チームが参加し、有望な若手選手も加わってさらに盛り上がるでしょう。ファン・デル・プールは冬のシクロクロスシーズンを終えた後、InfliteからAeroadに乗り換えてツール・ド・フランドルの2回目の勝利を狙います。さらに昨年は表彰台獲得に終わったミラノ~サンレモとパリ~ルーベでも優勝のチャンスがあります。

2022年のパリ~ルーベ勝者であるディラン・ファン・バーレやユンボ・ヴィスマのワウト・ファン・アールトのほか、レムコ・エヴェネプール、タデイ・ポガチャルなどが彼のライバルとなり、最高の栄誉を目指して争うことになります。

モビスターはクラシックで数々の勝利を挙げたバルベルデが引退しましたが、エンリク・マスがイル・ロンバルディアのダークホースと目されていて、2022年に2位となったリエージュ~バストーニュ~リエージュでもチャンスがあります。

女子レースに目を向けると、ロードレース世界チャンピオンのアネミエク・ファン・フルーテンが、強力なモビスター・チームでプロ選手最後のシーズンを華々しく飾ろうとしています。彼女はツール・ド・フランドルとリエージュ~バストーニュ~リエージュを2回制した実績があり、今年はパリ~ルーベ優勝が目標となります。

アルデンヌのレースは登りが得意なポーランド人のカシア・ニエウィアドマと相性がよく、CANYON//SRAMチームをリードすることになります。また、怪我と病気により長期間のリハビリを強いられているクロエ・ダイガートの復活にもチームは期待しています。モビスターとCANYON//SRAMの両チームは、SDワークスやトレック・セガフレードなどのライバルチームと春のクラシックで争います。

モニュメントの最多勝利選手は?

みなさんの予想に違わず、モニュメントで最も数多く勝利を挙げているのは、輝かしい実績を残し歴史上最高のサイクリストとして語られているベルギー人のエディ・メルクスで、その数は19回に上ります。5つのモニュメントすべてを制した人物は3人しかいませんが、メルクスはそのひとりで、ミラノ~サンレモ(7回)とリエージュ~バストーニュ~リエージュ(5回)の最多勝利記録も保持しています。

ロジェ・デ・フラミンクは1960年代後半から70年代前半にエディ・メルクスのライバルとして活躍したベルギー人で、モニュメントでは11回の優勝記録があります。「ミスター・パリ~ルーベ」とあだ名された彼は伝説の石畳レースで4回という最多勝利記録を保持していて、この記録には後にトム・ボーネンが並びました。

イタリア人のコスタンテ・ジラルデンゴは、第一次大戦と第二次大戦の間に活躍した選手としては最も大きな実績を挙げた有名な選手で、1918年から1928年のわずか10年の間にジロ・デ・イタリア総合優勝2回、モニュメント9勝という結果を残しました。1940年代から50年代に偉大な実績を残し、象徴的な選手となったイタリア人のファウスト・コッピも、同じくモニュメントで9勝しています。

コッピは輝かしいキャリアの中でほぼありとあらゆるレースに勝っていて、イル・ロンバルディアでは4回の最多勝利を記録しています。最後に紹介するのは、やはりモニュメントで9回優勝した伝説のライダー、ショーン・ケリーです。カス、フランドリア、PDMといったチームで活躍した真のオールラウンダーで、持久力と卓越したレース戦術、強烈なスプリント力を併せ持ち、スプリンター向けのレースからステージレース、ワンデークラシックまで幅広く勝利しています。ケリーは5つのモニュメントのうち4つで優勝しましたが、ツール・ド・フランドルだけは惜しくも2位に3回入ったものの勝つことはありませんでした。

最近であれば、モニュメントを何度も制した有名なライダーとしてはフィリップ・ジルベールやファビアン・カンチェラーラ、トム・ボーネンが挙げられます。また、すでに確かな実力を示しているマチュー・ファン・デル・プールは、Canyonのバイクに乗って2020年と2022年の2回ツール・ド・フランドルを制しています。

春のクラシックの見どころ

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2023年の春のクラシックは、EurosportとDiscovery+で生放送が予定されています。イギリスやオーストラリアなどの国と地域では、GCN+でレースが放送されます。

アメリカではNBC SportsとFlobikesの両チャンネルが放送を予定していますが、一部のレースはまだ同国内での放送予定が決まっていません。

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  • Daniel Benson
    著者について

    Daniel Benson

    ダニエル・ベンソンは自転車界を幅広く取材するベテランジャーナリストで、ツール・ド・フランスやオリンピックなどスポーツ界最大規模のイベントを取材した経験を持ちます。

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