2023/01/16 Canyon.com
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マウンテンバイクのタイヤ空気圧のガイド

タイヤはトレイルとライダーの接点となるパーツであり、マウンテンバイクの性能を最大限に引き出すためには、タイヤとその空気圧がきわめて重要です。

マウンテンバイクのタイヤ空気圧のガイド マウンテンバイクのタイヤ空気圧のガイド

マウンテンバイクのタイヤ空気圧を完璧にセットするのは、簡単なことではありません。ライドの前に空気圧を決めるときには、さまざまな要素を考慮する必要があります。トレイルの状況からライダーの体重までいろいろなことを含めると、科学的な明快な面と魔術のように曖昧な面を併せ持ちます。

マウンテンバイクのタイヤ空気圧をどうやって決めているか、Canyonの従業員やアスリートに意見を聞いてみました。

Canyonでダウンヒル系ライダーのプロスポーツマネージャーを務めるラリー・ハートウィッチは、次のように語っています。「一般的におすすめできる『どんな状況にも万能』なタイヤ空気圧というのは存在しません。ライディングポジション、天候や地形、タイヤなど、さまざまな条件によって左右されます。チューブレスタイヤなら、まずはフロントを23~24PSI、リアを27~28PSIに設定すると良いでしょう。そこから必要に応じて微調整していきます」

キャリアの大部分をプロ選手とともに過ごしてきたラリーは、適切なタイヤ空気圧の探り方について豊富な知識があります。この記事では、トレイルに行く前に検討しておくべきキーポイントをいくつか説明します。

適正空気圧はライダーの好みによって変わる

マウンテンバイクには多種多様なモデルがあります。軽くて速いクロスカントリーMTBExceedエンデューロモデルStriveなど、それぞれのバイクが特定のライディングスタイルに特化した設計になっていて、適正タイヤ空気圧も少しずつ違います。

また、ライダーの個人的な好みによっても適正圧は変わります。ライド仲間の空気圧をそのまま真似しても、自分にとって良いとは限りません。他の人の意見を聞くことも大切ですが、実際に試して自分に合った空気圧を見つけることが重要です。

あらゆるライダー、あらゆるバイクに適用できる絶対的な法則はありません。しかし、正しい空気圧を探るための方向性をアドバイスすることはできます。

適正空気圧はライディングスタイルによっても変わる 適正空気圧はライディングスタイルによっても変わる

適正空気圧はライディングスタイルによっても変わる

クロスカントリーコースの滑らかなシングルトラックやテクニカルなトレイルなどの走る場所、ライディングのタイプやスタイルによって適切な空気圧は異なります。Canyon所属ライダーのブレイドン・ブリングハーストは、トレイルで次のように空気圧をセットしています(チューブレス)。

  • フロント:28PSI
  • リア:30PSI

チューブレスタイヤでトレイルを走るときは、まずこの値にセットしてみましょう。シングルトラックからエンデューロスタイルのライドまで、幅広いトレイルライドに対応できます。ロードバイクに乗る人ならずいぶん低いように思うかもしれませんが、このくらいのほうがタイヤが硬くなりすぎず、トレイル上の石などによる小さな振動を吸収する「マイクロサスペンション」としてよく機能するので、ライド全体をより楽しむことができます。

ライダーの体重に応じてサスペンションを調整するのと同じように、タイヤの空気圧を決めるときにも体重を考慮します。80kgを超える重量級のライダーはタイヤにかかる力が大きく、逆に体重が軽いとタイヤへの負荷は小さくなります。Canyon社員のスコット・ハートは比較的体重が軽いので、自身のTorqueでトレイルを走るとき、空気圧は次のようにセットします。

  • フロント:25PSI
  • リア:27PSI

ブレイドンと比較すると、スコットの空気圧は数PSIほど低くなっています。体重が重くアグレッシブなライダーなら、フロント30PSI、リア32PSIくらいの高めの空気圧にする必要があるかもしれません。ほとんどのタイヤメーカーが、チューブレスでの使用を想定した推奨空気圧(指定空気圧)をタイヤ側面に表記しています。タイヤ側面の最低空気圧と最高空気圧を確認して、指定空気圧の範囲内で空気圧を調整する必要があります(通常は20~40PSI程度)。

空気圧が低すぎると転がり抵抗が大きくなり、また「バーピング」が起こることもあります。空気圧が低すぎるタイヤでハードにコーナーリングするとバーピングが発生します。これは、タイヤに負荷がかかって大きく変形し、タイヤビードとホイールのリムの間に隙間が空いて、「プシュッ」という音とともに空気が少し漏れる現象です。

バーピングが発生する場合は、ハードなコーナーリングでもエア漏れしないようになるまで空気圧を上げます。

空気圧が高すぎるとグリップ力が落ちて、タイヤサイドのノブが路面に食い込まずにトレイルの表面で滑ってしまいます。

トレイルの条件に合わせてタイヤ空気圧を変える

乾いた砂地のトレイルと泥や粘土質の路面では、条件がまったく違います。そのため、タイヤのセットアップもそれに合わせなければいけません。同じトレイルでも、ウェットコンディションや滑りやすい路面の場合、ドライのときよりも2~3PSI低くします。こうすると、路面がルーズだったり濡れていたりしてもコーナーでしっかりグリップします。

ドライコンディションでグリップが良いコースのレースを走る場合、条件次第では35PSIまで上げてもいいかもしれません。タイヤの転がり抵抗が小さくなって速く走ることができ、勝利に近づくことができます。岩で凸凹だったり直角の段差や鋭い角があるトレイルでは、リム打ちでリムが凹むのを避けるため、さらに高くすることもあります。

29インチと27.5インチのMTB、それぞれの適正空気圧

MTBのホイールサイズが違うとタイヤ空気圧も変わるのでしょうか? ここまで29インチのMTBタイヤについて説明してきましたが、マレットのリアホイールや小さめのサイズのMTBで使われる27.5インチのタイヤでも空気圧は変わりません。実際にタイヤ空気圧に影響するのはタイヤ幅で、タイヤ直径は必ずしも影響があるとは限りません。経験的に、27.5インチのホイールも29インチとほぼ同じセッティングでかまいません。そこから個人の好みや状況に応じて微調整します。

29インチと27.5インチのMTB、それぞれの適正空気圧 29インチと27.5インチのMTB、それぞれの適正空気圧

クリンチャーとチューブレス、それぞれの適正空気圧

チューブレスタイヤではシーラントとチューブレスバルブを使用してタイヤの気密性を保つため、インナーチューブが不要になっています。このため、チューブレスタイヤはリム打ちによるパンク(リムとタイヤの間にチューブが挟まることによるパンク)が少なくなります。また、小さな穴ならシーラントがふさぐので、耐パンク性は一般的に高くなります。

チューブを使用する場合(Canyonのバイクには必ずチューブが同梱されます)、タイヤ空気圧を推奨値よりも5PSI高くします。一般的には、チューブを使用する場合まず以下の空気圧にセットすると良いでしょう。

  • フロント:33PSI
  • リア:35PSI

チューブレスタイヤはチューブを噛んでパンクすることがないため、かなり低い空気圧でも安全に走れます。グリップ力を高めたいなら空気圧を5PSI低くします。しかし、バーピングを起こしシーラントが漏れるリスクや、タイヤの転がり抵抗が大きくなるというデメリットがあります。空気圧を必ず点検・調整し、タイヤ側面の最低値を下回らないようにしてください。

最適なタイヤ空気圧を探る方法

以上を踏まえて、ビギナーの方がチューブレスタイヤを使う場合は、まず以下の空気圧で試してみることをおすすめします。

  • フロント:27PSI
  • リア:30PSI

チューブを使用する場合は以下の空気圧を基本にしてください。

  • フロント:32PSI
  • リア:35PSI

上記の空気圧で何回か乗ってみて、バイクのフィーリングを確かめます。それから圧を上げたり下げたりして微調整しましょう。絶対的な正解はありません。実際に試してみて、あなたのCanyonバイクのベストセッティングを探ってみてください。

チューブレスタイヤでバーピングを起こしたりチューブドタイヤでリム打ちしたりするようなら、空気圧が低すぎます。コーナーで十分なグリップが得られないなら、逆に圧が高すぎます。

最適なタイヤ空気圧を探る方法 最適なタイヤ空気圧を探る方法

ラリー・ハートウィッチからのアドバイス

自分が走る場所で適切な空気圧がわかったら、そこから試行錯誤しながらいろいろと探ります。

ラリー・ハートウィッチは次のようにアドバイスしています。「空気圧を少し変えるだけでバイクの挙動は大きく変わります。タイヤとその空気圧をしっかりと意識すると、バイクライドがもっと楽しくなります」

最後に、ラリーがタイヤの空気圧を正確にセッティングしたい方に向けてアドバイスを贈ります。「空気圧はポンプの圧力計ではなく自分専用のタイヤ圧ゲージで測りましょう。そうすると圧力計ごとの誤差の影響がなく、どのポンプを使っても正確に空気圧をセットできます」

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