バイクライドでダイエット:サイクリングではどのくらいのカロリーが消費される?
サイクリングは心臓や循環器系を刺激するだけでなく、かなりのカロリーを消費します。
バイクにたった数分乗るだけで心拍数が上がって血流が促進され、カロリーが大きく消費されます。この記事では、バイクライドでどのくらいのカロリーが消費されるか、および一定量のカロリーを消費するにはどのくらいの距離を走る必要があるかについて説明します。
ライドに出かけよう:バイクライドでカロリー消費
エンデュランススポーツはカロリーを消費したい場合に最適で、その中でも特に毎日の生活習慣の中に取り入れやすいのがサイクリングです。定期的にサイクリングをすると、心疾患や高血圧のリスクが60%以上も低下します。ライド中は1分間に1.5リットル以上の血液が心臓から送り出され、内蔵を含む体全体を巡ります。このときにエネルギーが消費され、体重を減らすことができます。
初めのうちは晴れた日の通勤や通学に自転車を使うのがアクティブな気分になって楽しく、それを続けているうちに、基本的なキットがあれば雨の日でも気持ちよく乗れることがわかります。交通渋滞のわずらわしさから逃れ、ガソリン代や交通費を節約しながら脂肪を燃やしましょう。ロードバイク、MTB、グラベルロードバイク、クロスバイク、シティバイクなど、どんなバイクでもダイエットはできますが、バイクライドを楽しむことができればさらに効果的です。パニアラックがあると、その日に必要なものを楽に運べます。これは多くのバイクに取り付けることができます。
バイクライドを生活習慣に取り入れると、どのくらいのカロリーが消費されているかが気になってきます。カロリー消費の大まかな計算方法や、効率よく消費するためのヒントを紹介します。
バイクライドのカロリー消費量
ジョギングや水泳などの持久的な運動を30分以上続けると、運動能力の向上やダイエットに効果があります。30分のランニングでは250~500kcalが消費されます。同じ時間で水泳では300~400kcalが消費され、クロールでは450kcalに及ぶこともあります。
それでは、サイクリングではどのくらいのカロリーが消費されるでしょうか? 走り方や走る場所にもよりますが、サイクリングでは1時間に100~650kcalが消費されます。ツール・ド・フランスなどの激しいレースをプロ選手が走ると、カロリー消費も大幅に増加します。長距離の高速ステージでは数千キロカロリーが消費されることもあります。
サイクリングが健康に良い理由
30分以上のサイクリングは循環器系にとって良い刺激になり、小さな筋肉や大きな筋肉群の強化にも役立ちます。ライド中は体重の80%がサドルにかかるため、他のスポーツに比べると体への負担がかなり抑えられます。このためサイクリングは多くの人に適していて、体重が多すぎたり怪我の影響があるなど身体的な問題を抱えていて他の運動が難しい人でも行うことができます。
スムーズにペダリングすると、腰や軟骨、関節の負担は小さく抑えられます。同時に、脚部や臀部の筋肉にとっては良い運動になります。体側や背面などの上半身も鍛えたいのであれば、トレイルやコーナーで体を安定させバランスを取る動作が含まれるマウンテンバイクが理想的です。ジャンプの着地では、衝撃に備えて脚と腕の筋肉を駆使しなければなりません。
ヒント:ライド中の負担を軽減し何年も楽しく乗り続けられるようにするためのバイクとライディングポジションの調整方法を、サイクリングの腰痛対策ガイドで紹介しています。こちらもお読みください。
走行速度とカロリー消費量の関係
1時間のバイクライドで消費されるカロリーは速度などの要素で変わります。経験的に、60分間での消費カロリーは以下のようになります。
- 15km/h以下:約300kcal
- 18km/h以下:約420kcal
- 22km/h以下:約600kcal
- 28km/h以下:約850kcal
- 28km/h以上:約1,000kcal
18km/hで30分走ると、約210kcal消費されます。同じ速度で1,000kcalを消費するなら、そのペースで2.5時間ほど走る必要があります。
1kmのバイクライドで消費されるカロリーはどのくらいでしょうか?
距離だけでは消費カロリーを計算することは難しく、速度や運動強度によってかなり異なります。厳しいコースを走ったり向かい風を受けたりすると、消費量は大きく変わります。たとえば同じ40kmを走った場合でも、トレッキングバイクで15km/hのペースでゆっくり走るよりもレースバイクで高速走行したほうが、10km分以上も消費カロリーが少ないこともあります。中程度の速さで一定距離を走った場合に消費するカロリーは、だいたい以下のようになります。
- 1km:23kcal
- 10km:230kcal
- 20km:460kcal
- 25km:575kcal
- 30km:690kcal
- 40km:920kcal
- 80km:1,840kcal
バイクライドのカロリー消費量を左右する要素
バイクライドで消費するカロリーを左右する要素には、主に以下のようなものがあります。
- 強度:
ハードなトレーニングか、ゆったりとしたファンライドか。ペダリングの強度が高いほど、つまりペダル踏力やケイデンス、速度が高いほど、消費カロリーも増えます。
- 運動能力:
サイクリングやエクササイズにあまり慣れていない初心者か、強靭な肉体を持つアスリートか。筋肉は脂肪を大量に燃焼させるので、筋肉量が多いほどバイクライドでの消費カロリーが増えます。基礎代謝量が多くなるため、さらに効果的に体重を減らすことができます。
- コースの厳しさ:
平坦なコースか、丘が連続するコースか。消費カロリーを増やすには、平坦なコースよりも上り坂を含むコースのほうが向いています。厳しい上りがあると筋肉のエネルギー消費量が増えるため、カロリーがたくさん消費されます。地形が運動強度や速度に影響するほか、信号停止や道路の荒れ具合、交通量などもすべてカロリー消費に影響します。
- 風の状況:
向かい風のライドは幸運か不運か。マウンテンバイクでのトレイルライドには向かい風はあまり関係ないかもしれませんが、開けた道で向かい風を受けると、集団の先頭のライダーは厳しい表情でハンドルにしがみつくようにペダルを踏む一方、後続はアップライトなポジションで楽に速度を維持できます。しかし、風に抗って強くペダルを踏み込むほど消費カロリーが増えるので、先頭で走る努力は報われることになります。
- 生理学的特性:
年齢、性別、体重もサイクリングでのカロリー消費に影響を与えます。サイクリストのエネルギーの必要量や消費量は、同じ速度で同じ距離を走った場合でも、筋肉率や体脂肪率、ホルモンレベルなどのさまざまな生理学的特性に���って変わります。
適切な心拍数で脂肪を燃焼させる
バイクライドで脂肪を効率よく燃やしたいなら、適切な心拍数を常に維持しましょう。ハートレートモニターや心拍数を計測できるサイクルコンピューターがあれば、ライド中ずっと心拍数を確認できます。最大心拍数の60~70%が脂肪燃焼ゾーンなので、この範囲を維持するように努めます。この心拍数は次の式で簡単に求められます。
- 女性の場合:(226 - 年齢) * 0.6 (60%) または 0.7 (70%)
- 男性の場合:(220 - 年齢) * 0.6 (60%) または 0.7 (70%)
たとえば38歳の女性の場合、脂肪を燃焼させるのに理想的な心拍数の範囲は113~132拍/分となります。一方38歳の男性の場合、この範囲は109~127拍/分となります。トレーニングに適切な心拍数がよくわからない場合や健康上の問題を抱えている方は、医師やスポーツ医学の専門家に相談することをおすすめします。センサーを使用してパフォーマンステストを実施すると、自身のフィットネスレベルや心拍数の適切な範囲がすぐにわかります。
有酸素領域と無酸素領域のバイクトレーニング
100メートル走などの短時間・高強度の運動では大量のエネルギーを消費しますが、その際には主に炭水化物が燃焼します。10キロの長距離走など、運動時間が長くなるにつれて脂肪の燃焼に依存するようになります。どちらの運動も酸素を利用した代謝がエネルギー源になっています。
有酸素領域
有酸素代謝領域でトレーニングしている間は、体に十分な量の酸素が供給されます。空気から取り入れられた酸素が筋肉に必要なだけ行き渡り、脂肪とグリコーゲン(炭水化物)が同時に燃焼します。そして二酸化炭素が血液によって運ばれ、肺から排出されます。中程度の速度域で走っていると安静時より呼吸が速くなりますが、息が切れることはなく、無理なく会話することもできます。
有酸素閾値
もう少しペダリング強度が強くなって体への負荷が大きくなると、筋肉内で生成される二酸化炭素が増え、肺での排出が間に合わなくなります。そうすると血液中の二酸化炭素濃度が上昇します。その結果、筋肉内でグリコーゲンが不完全燃焼を起こし、乳酸が生成されます。この状態は有酸素閾値(AT値)と呼ばれ、この強度以下では体内でグリコーゲンを分解し燃えかすを運搬することができます。AT値の領域では血液中の乳酸濃度が上昇することはなく、「定常状態」となります。
乳酸濃度の上昇が始まる運動強度は、サイクリストのフィットネスレベルによって決まります。経験が浅いサイクリストのAT値は最大心拍数の60%程度の場合があり、一方でプロ選手では最低でも85%に及びます。平均的には、この値はほとんどの人が80~90%となります。このAT値までは、運動強度を上げても乳酸濃度が大幅に上昇することはありません。運動能力が向上するほど、この領域での走行速度は速く、持続距離は長くなります。
無酸素領域
無酸素領域でのトレーニングは、最大出力の領域で短時間だけに限られます。体内にはエネルギーを生成できるだけの酸素が十分になく、貯蔵されている炭水化物はすぐになくなります。解糖と呼ばれるプロセスは2倍の速度で進みますが、大量の乳酸が血中に蓄積されます。その結果パフォーマンスが急速に低下し、筋肉が消耗して力尽きます。さらに運動後は筋肉が固くなることがあるため、怪我のリスクを軽減するためにストレッチとクールダウンを必ず行う必要があります。
ダイエットには運動とバランスの良い食事の両方が大切
体重を継続的に減らすには、カロリー収支をマイナスにする必要があります。つまり、摂取カロリーよりも多くのカロリーを消費しなければなりません。しかし、摂取カロリーが少なすぎるのもいけません。体がエネルギーを蓄えこもうとし始め、その結果筋肉量が減ってしまいます。また、その状態では摂取したカロリーがすべて脂肪として蓄えられます。これは、呼吸や血液循環といった生命維持に不可欠な機能を保ち、また飢餓状態に備えて長期的に消化を行いエネルギーを体に供給するための措置です。ダイエットとリバウンドを繰り返す人の多くは、このようなしくみで悪循環に陥っています。
安静時に体が生命機能を維持するために必要なエネルギー量を基礎代謝量といいます。運動代謝量とは、あらゆる活動で消費されるエネルギーから基礎代謝量を引いた値です。基礎代謝量と運動代謝量の合計値が総エネルギー代謝量となります。
摂取カロリーが総エネルギー代謝量よりもわずかに少ない状態を維持すると、体重を持続的に減らすことができます。このためには、運動量を増やしてエネルギー消費量を増やすか、健康的な食事でエネルギー摂取量を減らす必要があります。ダイエットを成功させるには、運動と食事の両方に気を使うようにしましょう。そうすると、体重の増減を繰り返すことなく、効果的かつ着実に体重を減らすことができます。体重をそのまま維持したい場合は、カロリー摂取と総エネルギー代謝量が等しくなるようにします。
ハリス-ベネディクトの式で基礎代謝量を求める方法
1日に必要なカロリーを計算するには、まず1日あたりの基礎代謝量を計算しましょう。
これは、カロリー計算ツールを使わないでもハリス-ベネディクトの式から求めることができます。
- 女性の場合:655.1 + (9.6 * 体重[kg]) + (1.8 * 身長[cm]) - (4.7 * 年齢)
- 男性の場合:66.47 + (13.7 * 体重[kg]) + (5 * 身長[cm]) - (6.8 * 年齢)
計算例:身長185cm、体重80kgの33歳男性の場合、基礎代謝量は1,863kcalとなります。身長・体重が同じ33歳女性の場合、基礎代謝量は1,601kcalとなります。
総エネルギー代謝量の計算方法
この値は、安静時に必要なエネルギー量を表す基礎代謝量に、運動で必要とされたエネルギー量を表す運動代謝量を加えたものになります。運動代謝量は、体を動かす仕事かデスクワークか、自由な時間にどのような運動をしているかなどによって変わります。
基礎代謝量に身体活動レベル(PAL)を掛けた値が総エネルギー代謝量になります。ドイツ栄養学会(DGE)によると、PALの値は1.2(安静時または座っている場合)から2.4(体を激しく動かす仕事を行った場合)の間になります。デスクワークの場合、PALの値は1.4~1.5になります。ケータリングや販売など、勤務時間のほとんどを立っているか歩いて過ごす仕事の場合、PALの値は1.8~1.9になります。週4~5回、30~60分の運動をすると、この値は0.3程度上昇します。
計算例:先ほど例に出した男性の仕事がデスクワークだとするとこの値は1.5程度ですが、毎日自転車で通勤していると0.3が加算されます。1日あたりの基礎代謝量は1,863kcalなので、これにPALの値1.8を掛けると、1日あたりの総エネルギー代謝量は3,353kcalとなります。
健康的な食事を適切に摂るには?
体にとって必要なものを必要な量だけ摂取するためには、水分をたくさん摂り、バランスの良い食事を心がけるようにします。飲み物は砂糖が入っていないお茶や水、それと適量であれば果汁100%のジュースなどが理想的です。さらに、野菜や果物、良質な脂質、たんぱく質と食物繊維を多く含む食品を十分に食べましょう。一方で、チョコレートや清涼飲料水などの砂糖を多く含む食品は頻繁に摂らないようにして、量も控えめにします。脂質と塩分を多く含むファーストフードやポテトチップなどの食品も同様に控えるようにします。
目安として、摂取カロリーの割合が以下のようになる食事を目指します。
- 炭水化物:40~45%
- 良質な脂質:30%
- たんぱく質:25~30%
健康な食事を楽しみつつフィットネス目標を達成したいなら、以下の3つの原則が参考になります。
- 朝食は一日のエネルギー源となるので、炭水化物が多い食品を摂ります。
- 昼食では必須栄養素を多く含む食品を摂ります。必要な栄養分が体に供給され、体重を増やさずにパフォーマンスを維持することができます。
- 夕食はたんぱく質を十分に摂り、炭水化物はなるべく少なくします。
E-バイクでのカロリー消費量
E-バイクや電動アシスト自転車でも通常のバイクと同様にカロリーを大量に消費することができますが、より速く、より遠くまで、より楽に行くことができます。E-バイクに乗ったときのカロリー消費量は、モーターアシストの設定によって変わります。電動アシストを使わずにサイクリングすると、カロリー消費量は通常のバイクと同じになります。モーターアシストを強くするほど筋肉の運動量は減り、それに応じてカロリーの消費も少なくなります。
E-バイクに乗る場合は、モーターアシストを利用する割合によって消費カロリーが変化します。出力の半分をモーターがアシストする場合、ペダル踏力も半分になるため、カロリー消費量は50%だけになります。このため1時間のサイクリングでの消費カロリーは250kcal程度になりますが、モーターアシストを使わずに同じだけ走ると500kcalを消費することになります。
この話題については、E-バイクでのカロリー消費に関するガイドで詳しく説明しています。
ロードバイク、シティバイク、MTBでカロリー消費量はどのくらい違う?
バイクライドで消費されるカロリーの量は、どのバイクに乗るかではなくライドの運動強度によって決まります。それぞれのバイクは走る場所がまったく違い、それに合わせて設計されているので、直接比較するのは簡単ではありません。
たとえば、オンロードではマウンテンバイクよりもロードバイクのほうが消費カロリーは少なくなります。ロードバイクはフレームジオメトリーが最適化されていてタイヤも細いので、空力性能が非常に優れていて転がり抵抗も抑えられています。このため、AeroadなどのCanyonのロードバイクは世界でも最高レベルの高速性を備えています。MTBはオフロードでのライドを想定して設計されています。幅広のブロックタイヤは下りでのグリップ力には優れていますが、オンロードでは摩擦抵抗が大きいため、ロードバイクよりも多くの力が必要になり、したがってカロリー消費量も増えます。
ヒント:バイクライドでの消費カロリーを増やしたいなら、バイクの重量を増やすのもひとつの手です。移動時の総重量が増えると抵抗が大きくなり、ペダリングに必要な力が増えます。特に上りではそれが顕著に感じられます。実用的なバイクバッグやバックパック、トレーラーを使用するとテントや登山用品などの道具を簡単にマウンテンバイクに積み込むことができます。そうやって重量が増えれば、運動量やカロリー消費量も増えます。